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造園のポイント

緑地の効用

一般的に緑という場合は植物そのものをさすことが多いのですが、私たちはもっと広義に、大地や水などを含めた空間を緑地と捉えています。緑地は私たち人間に、精神的にも肉体的にも直接働きかけ、豊かな人間性の育成や健康をもたらしてくれます。
造園緑化では、緑が視覚的な対象物としてどのように存在するかを設計するのはもちろんのこと、緑から人が心理的に受ける影響がどのようなものか、この両面をしっかりと抑え、人と緑との関係を築いていきます。

緑化の対象空間

緑地の対象空間は、以前は単にひとつの敷地内における建物以外の残部空間(外回り)と考えられがちだったのですが、社会構造の変化にともない、現在では人が直接・間接を問わず何らかの形で関与するすべての空間と考えられるようになっています。例えば、都市部での造園計画でも、建物や道路などを除く空間という考えから、建物も道路もその他のすべてを含めた都市空間そのものが対象空間と捉えられるようになりました。

このように現代の造園計画・設計が対象とする空間、施設は広い領域に拡大されているのですが、人間の創造的活動や生活にとっては、人間が介入していない自然も、人工化された空間も欠くことのできないものです。人工化された人間の住居空間、交通空間などの緑が欠如している地域では、代替する自然として庭園や公園、道路や水辺の緑化など、細かい自然を正確空間に適した形で導入し、環境条件を確保する必要があります。

家庭での庭づくりのポイント

緑地が対象とする空間は、小さくは個人の庭空間から日常生活空間へ、そして大きくは国土的スケールの都市空間まで含まれます。ただ、どの空間であっても、人と自然、人と環境、人とデザインの次元でオープンスペースを捉えていくことは同じです。

ここでは、個人の庭空間のデザインのポイントをお伝えします。
是非、ご家庭での庭づくりの参考にしていただければと思います。

1.どのような庭にしたいのか目的をはっきりさせること

あなたが毎日の暮らしを送る大切なスペースだということを忘れずに、庭をつくる目的をはっきりさせることです。
庭づくりのイメージとしては、
  • 観賞用の庭
  • 四季折々に木々や草花を楽しむ庭
  • 憩いのスペースとしての庭
  • 遊びの庭
  • 収穫を楽しむ庭
などあります。特に小さい庭の場合は欲張らずに、ひとつの目的に絞ってプランを立てることが大切です。
また、家族の成長にしたがって庭の目的も変化していくでしょう。庭づくりは長い目で見ること。庭を育てていくことも庭づくりの楽しみといえます。

2.庭の様式を決める

庭の様式は、大きく和風・洋風に分けられます。和風の庭は、風景式庭園ともいわれ、自然の風景に近い形態を備えたものです。洋風の庭は、建築式庭園ともいわれ、幾何学的な線や面で組み立てられた平面および立体図案的なものです。また、この両者を折衷した和洋折衷式庭園もあります。

日本の家屋は和洋折衷型がほとんどですので、無理して和風・洋風にこだわらずに、折衷型も考えながら基本を決め、自分のイメージを広げて庭をつくればいいでしょう。

3.自分の家の立地条件に合った庭づくりを考えること

実際に庭づくりをするには、敷地の形、広さ、方位、日当たり、風通し、水はけ、道路や近隣との距離など様々な条件があります。どんな条件でもその条件に合わせた庭づくりはできますし、悪条件を克服するというのも庭づくりの楽しさといえます。条件が悪いからといってあきらめずに、楽しんでみてください。条件に合った庭木や草花を選ぶこと、育てる場所、地植えにこだわらない育て方などがポイントです。

また、庭づくりで気をつけなくてはならないことは、隣家との関係です。例えば、隣家の日当たりを妨げたり、落葉が隣家に大量に舞い落ちたり、病害虫が発生しやすい木を隣家の近くに植えて手入れをおこたったりなど、隣家に配慮を欠いた庭づくりは、隣家との良好な関係をこわしかねません。むしろ、お互いの庭が映えるように配慮することが大切です。

4.日当たり・土・風通しを調べる

庭が南向きなのか北向きなのか、隣家に面しているのか道路に面しているのかによって、日当たりの具合は違ってきます。建物で日照をさえぎられるような場合は、半日陰でも成長する木を選びます。日照がさえぎられることがないような場合は、日当たりを好む木を選びます。季節によってい日当たりは異なりますが、春や秋で1日5時間以上日が当たる庭は日当たりのよい庭といえます。

植物が育つのによい庭の土とは、水はけ・水もち(保水性)・通気性がよいものです。
庭の2、3ヶ所を掘って、調べてみましょう。
砂質のさらりとした土
水はけや通気性はよいが、水もちが悪いので乾燥しやすい。
養分も少ない。
粘土質の粘り気がある土
水もちがよく肥えているが、水はけや通気性が悪い。
軽くふっくらとした土
水はけ・水もち・通気性が適度で、養分も含む。
この内、軽くふっくらとした土は、色が黒色または褐色で、黒土あるいは畑土と呼ばれ、植物が育つのに最も適した土です。砂質の場合は、水やりで乾燥を補うことができます。粘土質の場合は、木を植える場所に部分的に水はけのよい土を盛り土したり、場合によっては地中に水抜きパイプを埋めるなどの工事が必要です。

植物がよく育つのには、風通しの具合も大切です。風通しが悪いと、植物に病害虫が発生しやすくなります。逆に風通しがよすぎて寒風が吹きすさぶような場合は、植物が傷んだりします。適度な風通しがある庭にし、庭木や草花を植えるときは密植をさけ、こまめな選定をすることが大切です。

5.狭い庭の庭づくりのコツ

いわゆる「庭」といえるスペースがなくても、庭づくりを楽しむことはできます。玄関先や軒下、門回り、ベランダなど探せばいろいろな空間があるはずです。

例えば玄関に庭木や鉢植えを配したりすれば、お客様を迎える素敵なスペースに生まれ変わります。壁面を利用して造園用素材で飾ったりツル植物を絡ませたりすると、ぐっと趣がでます。わずかなスペースも、平面的な工夫と立体的な工夫を組み合わせることで、生活に潤いをもたらすスペースに変身できます。

また、狭い庭の庭づくりの基本は、とにかくゴチャゴチャと木や草花などをおかずすっきりとまとめること。そして、狭い庭を広く見せるコツは、遠近法による目の錯覚を利用することです。
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